ここ最近、着物コーディネートについて、レッスン内でお話しています。
皆さん、口を揃えておっしゃるのは、
「何か欲しいけど、何を買ったらいいのか、わからないんです。」
着物を着ることが、体感として現実味を帯びてくると、ふつふつとお買い物欲が湧いてきますよね。でも、果たして、最初に何を買ったらいいのか。
着物?帯?帯揚げ?帯締め?草履?足袋?長襦袢?…みんな、悩みます。
欲しいものがよくわからないのに、なんだかとりあえず欲しくなる。欲しいものがありすぎて、わからなくなる。
こういう時。
洋服ならば、自分の好みが経験としてほぼ定まっているので、それほど頭を抱えずにお買い物をすると思います。
例えば靴。
スニーカーが欲しい。
ブーツが欲しい。
仕事用のパンプスが欲しい。
どこそこのブランドの、仕立てのいいものがいい。
靴量販店で安く買いたい。
〇〇色で、デザインはあんなの、こんなの。
方向性が自然と決まってきます。
でも、着物となると。
ほとんどの人が、知っているようで知らない謎の世界です。着物姿のアウトラインは想像できたとして、いざ自分で着てみると、「こんなにもアイテムが多いのか!」と実感し、驚く。
実家の箪笥から寄せ集めてきた着物や帯、小物たちをとりあえずまとってみたけれど、これって正解?かっこいいの?それも、よく判らない。
それでいて、着物の何かが欲しくなる。けれども、アイテムが多すぎて、どこをどう揃えたらいいのか、悩む。
着物の買い物はじめは、真面目な人ほど、慎重な人ほど、判らないことが判らない、という状態に陥りやすいのです。
そういう時期にお生徒さん方が突入すると、具体的なお買い物のお話をする前に、着物コーディネートについて、話を個別に深めていくようにしています。
と言っても、この段階ではまだ、その方が今後どういう方向に好みのスタイルを寄せていくかは未知数です。
なので、まずは手元にある着物と帯を生かし、今よりもより魅力的にみせる小物の色使いや質感についてお話し致します。
そこで使うアイテムは、帯揚げと帯締め、ときどき帯。私の数少ない私物を使い、比較をしながら楽しんでいただきます。
年若い生徒さんであれば、現状よりも少しエレガントに。肌色に沿う配色で、フレッシュに品よく。
(お貸ししたもの〔右画像〕:片面が白の水玉模様の半幅帯、黄緑に銀糸を使った帯締め)
こちらのお生徒さん、色も柄もひたすら愛らしいものが大好きな方です。
なので、そういったものは自ら増やしていかれるでしょうから、私が提案するのは、少しだけ背伸びした装いです。
上品さと優しさを無理しない程度にまとうコーデ。お生徒さんにはきっと似合うと思っているので、押しつけず、でも、彼女の中にある他の魅力にも気づいていただけるよう、アドバイスいたします。
一方。
お生徒さんの中でも、美しく年輪を刻んでおられるお姉さま方は、すでにお持ちの帯着物も多く、新たに購入はしないけれども小物合わせで遊びたい、とお考えです。
そういった場合は、まず、和装小物の質感や配色の違いがもたらす印象の違いについて、お話しします。そして、クラス感を損ねず、今よりは遊び心のある彩色でご提案いたします。
(お貸ししたもの〔右画像〕:変わり織で光の陰影を拾う菜の花色の帯揚げ、黒みの強い緑の冠組)
こちらのお生徒さん、同色系でまとめるコーデはお得意です。ですので、小物の色遊びで、道ゆく人の目を楽しませて差し上げられるくらいの余裕はあってもいいかな、と思いながらコーディネートさせていただきました。
今回は、お生徒さん方それぞれに、腑に落ちた点がおありのようでした。
着物や帯のように面積の大きい物ではなく、帯締め帯揚げのような小さき物でも、自分の可能性を広げることができるということをご理解いただけたなら、御の字です。
具体的なお買い物については、御指南申し上げたところで皆さん意外と頑固なので、ご自身のいいようになさると思います。笑
ですので、どうぞ大いに悩んで悩み切ってください。
一緒に悩んで、お迎えした物の可能性を一緒に探りながら、着物生活を徐々に充実させてまいりましょう^^
臙脂と小豆の合いの子色、縮緬帯揚げ。頂き物ですが、いつ使おうかと悩んでいました。久しぶりに小紋を着てみたら、「今しかないわ」というほど私にはしっくりきたので、やっぱり小紋も着なきゃ視野が広がらないな、と反省した日のコーデです。
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